映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』レビュー 〜寒そうなのに温かい物語〜

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もともといろんな人が高く評価しているのを見聞きしていたので、個人的にも期待値はかなり高かった今作。結論から言うと、高い期待値を超えるすばらしい作品でした……!軽くレビューと考えたことなどについて書きたいと思います。

家族の形もさまざまな時代。『ホールドオーバーズ』の舞台は70年代。クリスマスは家族と過ごすというのがお決まりの中、各々の事情で、男子寮に残ることになった、ポール先生、料理係のメアリー、そしてアンガスの3人の物語です。

取り残されたことへの屈辱感、家族と会えない寂しさ、何もない男子寮で過ごす退屈さ。こんなに暗くてつまらなそうな状況なのに、最後まで作品にのめり込みっぱなしな上に、心が温かくなって涙まで出てくる……。
もちろんそれは登場人物たちが抱える苦悩に切なさを感じたり、感情移入したりという理由もあるのだけれど、それだけではない気がします。
人って温かいということを、スクリーン越しに感じることができること。これが他の映画にはない、「ホールドオーバーズ」魅力だと思います。メインキャラクターの3人は何らかの形で家族と離ればなれになってしまった孤独の人々。でも、3人で数日間を過ごしているうちに、心のよりどころへと変わっていく。それまでもこれからも家族にはならない、赤の他人のはずなのだけど、失ったり離れたりすることで心に大きな穴を開けるのは「人」であると同時に、その穴をまた違った形で埋めてくれるのもまた、「人」なんだなと。そんな心強くて温かい気持ちにさせてくれる映画でした。

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